うちわのルーツ
日本でいちばん古いうちわ、うちわの祖先が登場したのは弥生時代後期でした。
翳(さしは)と呼ばれる木製品で、古墳から出土しています。
これは現在の大うちわのような形状で扇面に長い柄がついています。
もともとは中国から渡ってきたもので、従者が高貴な方の玉顔を隠したり、日差しをさえぎるために使用しました。
高松塚古墳の壁画に描かれた女性像が手にしているのは、この翳を片手に持てるくらいに小さくしたものです。
翳は高貴な人々が使用したために、翳じたいも権威の象徴として用いられています。
なかでも、宮中の即位式で使用する翳や伊勢神宮のご神宝が有名です。
伊勢神宮の翳は、柄の長さが4メートルあまり。
大きくて重い翳です。
もうひとつ、うちわの先祖といわれているものに麈尾(しゅび)があります。
現在のうちわを少し大きくしたくらいのサイズで、扇面の周囲に毛を植え付けてあり、僧侶が蚊やハエなどの虫を追い払うために使いました。
僧侶の持ちものだったため、これも一種の権威の象徴として用いられました。
現存する最古のものは正倉院の御物のなかに残されていますが、麈尾は早くに姿を消し、使われなくなりました。

